テーマや雰囲気はまったく違いますが
最近観た2本の映画が両方とも良かったのでご紹介。
まずは
『アヒルと鴨のコインロッカー』。(公式HPは
コチラ)
私がいちばん好きな作家の1人、伊坂幸太郎さんの同名小説が原作です。

ストーリー:
大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名(濱田岳)は、
河崎と名乗る奇妙な男性(瑛太)に出会う。
河崎は、同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るため、
「一緒に本屋を襲わないか?」と奇妙な計画を持ちかける。
そんな話に乗る気などなかった椎名だったが、
モデルガンを片手に本屋の裏口に立ち、ボブ・ディランを唄いながら見張りをするハメになり・・・。なぜ広辞苑?買うのではなく襲撃?なぜ裏口でディラン?
一見すると何の関連もない突拍子もない謎が、後半一気にスルスルと繋がっていきます。
原作を読んでない人はそのパズルを純粋に楽しめると思うし、
既読の人もこのストーリー最大の仕掛けをこう映像化したのか・・・という見方ができる仕上がり。
そしてタイトルの「アヒルと鴨」。実はこの言葉にもすごく深い意味があります。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、瑛太くんの台詞回しと目線がポイントです。
キャスティングがこれまた良くて
まず、椎名役の濱田岳くん。金八先生の頃から好きだったんですけど
ボーっとしてるようだけど意外に思い切りがあってまじめで心優しい椎名を好演してました。
そして、何を隠そうかなり瑛太ファン

の私。
序盤の見るからに怪しい雰囲気と後半とのギャップ、彼以外には思いつかないくらい良かったです。
あと、松田龍平くんがちょっとの出番でいいところしっかり持っていくあたりさすがでした(笑)
映画館を出て歩き出すと自然にボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみたくなります。
大きく感情が揺さぶられるというよりも、後からじわじわ〜と切なくなる不思議な映画でした。
* * * * *
そして2本目のオススメは
『夕凪の街 桜の国』。(公式HPは
コチラ)

ストーリー:
昭和33年、原爆投下から13年後の広島。
皆実(麻生久美子)は同僚の打越(吉沢悠)から求愛されるが、
彼女は被爆した心の傷と、自分が生き残った罪悪感に苦しんでいた。
やがて、皆実に原爆症の症状が現れ始める―。
そしてその半世紀後、東京で暮らす皆実の弟・旭(堺正章)は家族に黙って広島へ向う。
父を心配した娘の七波(田中麗奈)は、広島で後を追ううちに家族のルーツを見つめ直す。 原爆の罪。それは、一瞬にして多くの生命を犠牲にしたことだけでは済まない。
一命を取り留めた人々もまた、身近な人の死に対する懺悔を一生抱え、
10年、20年、いやそれ以上の月日が経ってもなお
容赦なく追いかけてくる原爆症の恐怖に怯え続ければならなかった。
そして、核根絶や永久平和を訴えている日本人が、
いざ結婚問題となると被爆二世の人を差別するという矛盾も根強くあるのです。
誰かが誰かの分まで幸せになる―なんて
そんな台詞、今まではただのまやかしだと思ってきたけど、
でも本当にそう思って生きることの大切さってあるんだなと初めてしっかり思えました。
こんなに泣いたのは久しぶりだったかも。(隣のわし男も号泣でした)
原爆を題材にした反戦反核を訴える映画は数多く存在しますが、
投下直前から直後の悲惨な描写が殆どないという点でもこの作品は一線を画しています。
戦争映画は苦手、という方にも是非観てほしいです。
「ヒロシマ」あるいは「ナガサキ」について
今の日本には(私も含めて)毎年8月6日〜15日くらいにしか思いを馳せない人も多いと思うけど
(それどころか、8月6日がどんな意味を持つ日かさえ知らない人もいるのかもしれないけど)
あの日に傷を負った人々、そしてその連鎖を抱える人々が
今も一生懸命、ごく普通の日常を過ごしているんだってこと。過去のことじゃないんだってこと。
重い話ではあるけれど、それを深刻になりすぎずに伝えてくれます。
この事実を知るだけでもこの映画を見る価値はあると私は思いました。